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執筆者の写真NOBUSE NOBUYO

ヒヨドリが部屋に入ってきた

つい昨日のこと。


午前中の散歩から帰ってくると、何やらけたたましい音がする。羽ばたきと、何かがぶつかり合う音。「これは鳥がいる」と一瞬で確信し、音がする方へと慌てて走る。

私の部屋に入ると、ベッドの上で鳥が暴れていた。ガラス窓目掛けて突進し、ぶつかって落ち、また飛びあがろうとしていた。待ってー!!と叫びながら急いで窓を開けると、すぐに飛び去って行った。


シーツや布団には緑色のフンが散乱し、よく見ると床や壁にもあちこちに落とされていた。ひどい有様だったが、不思議なほど腹が立たなかった。むしろ付きものが取れたように、穏やかな気分だった。

窓を開ける一瞬、鳥の目を覗き込んだのだが、その曇りのなかったこと。あんなに真っ直ぐ、ただ生きようとしている目は人間にはなかなか見られない。そのありのままの必死さに胸を打たれた。それに、間近で見る鳥はふわふわとしていて愛らしく、本当に可愛いかった。


もちろん感染症は心配なので、せっせと掃除をしていると、あちこちから鳥の匂いがした。最初は先入観でウッとなったが、じっと嗅いでいると微かにお日様の匂いがする。時折木の実みたいなものもぽつぽつ落ちていて、たぶん消化しないで丸ごと出たものだと思うのだが、何となくファンタジーな気分になった。さっきまでこの部屋に妖精がいたみたい。


いきなり知らないところに迷い込んでしまって、どれだけ怖かったことだろう。びっくりして、あんなにフンをしてしまったのだと思うと胸が痛む。それでも、来てくれてありがとうと思った。


シーツから布団や枕カバーまで全て洗い終え、隅々までピカピカにした部屋は、なんだかはじめましての部屋みたいにまっさらだった。窓を開けて、風を通す。あの子が春を運んできてくれたのかもしれないな。


こんな風に素直な気持ちで、まっすぐに、明日からも生きていきたいと思った。




ちなみにあとで鳥の種類を調べたら、ヒヨドリだった。

主食は木の実で、繁殖期(6〜8月頃)は虫も食べるとのこと。

繁殖期じゃなくてよかった…。



























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