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執筆者の写真NOBUSE NOBUYO

2024年6月11日

「岐阜駅本の市」で仲良くなった方と先日食事に行く機会があり、日記の話になった。どうしても日記がうまく書けないのだという私に、とある作家さんが提唱する5秒日記というものを紹介してくれた。日記にはその日一日の全てを書かなくてもよい、印象に残った瞬間をダイジェストに捉えればいい。ひょっとしたら理解がちょっと違うかもしれないが、大体そんな感じだったと思う。

なるほど、確かにそれなら書けそうだと思った。小さな瞬間を積み上げていくこと自体も面白そうだし、日記としてある程度の分量まとまったときに日記文学の醍醐味であろう「日々の生活そのものが指し示す個人のなかの大きな物語」も文脈として浮かび上がってくることだろう。


そんな感じでちょっと日記をはじめてみようと思った。肩肘張らず、どんな些細なことも等

価に扱う日記。


*

2024年6月11日


昼ごはんに目玉焼きを焼いた。スーパーに売ってるやつじゃなくて、たまご農家のところまで買いに行ったちょっといいたまご。たまごかけごはんにしてずっと食べていたが、すこし飽きてきたので焼いてみた。


岩塩をガリガリと振って、お醤油をたらり。そしたらキャベツとじゃこをさっと炒めて醤油と鰹節をまぶし、ゆかりのおにぎり(冷凍)をチンして、平たいお皿に全部のせる。


いただきますの後、しげしげと目玉焼きの表現を見つめる。すこし時間をおいたおかげで、塩がじわっと溶け出して目玉焼きと一体化している。午後の日差しにきらきらてりてりと輝く白と黄の大地に、一筋流れる醤油がなんとも美しい。染み込む塩の浸透圧は、眼をもってその美味に触れようとする私の視線そのもののように思われる。食べてないけど、もう旨い。食べ始めたら一瞬で、もうあんまり記憶にない。

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